茂木氏へのインタビュー
茂木孝浩さんは、モバイルマッチングサービスを提供している株式会社Diverseの執行役員(Chief Marketing Officer)で、2015年にDiverseに入社する前はソーシャルメディアネットワークのmixiで勤務していました。
茂木のブログを読む: ““継続こそ成功への近道”(日本のDatingアプリ市場)”
ご自身がご担当されているアプリについて簡単にご説明下さい。
利用者にとって最良な出会いを提供すべく、カジュアルな出会いのためのYYC、結婚を目的とした出会いのためのyoubride、若年層(18-24歳)の出会いのためのPoiboyの3つを展開しています。YYC、youbrideはwebから数えると運営18年以上のサービスで、Poiboyは運営3年ほどのサービスです。
モバイル(アプリ)マーケティングに携わったきっかけを教えて下さい。
Diverseに入社前にミクシィに在籍しており、Diverseが当時ミクシィグループだったことから集客のお手伝いをしたことがきっかけです。
モバイル(アプリ)マーケティングにおいてお好きな点を教えて下さい。
特に、datingのアプリの話になりますが、アプリは器であって、人を集めて初めてサービスとして成立すると考えています。なので、サービスのミッションに沿って魅力づけを行い、集客してサービスを発展させていくことがマーケティングの面白い部分かと思います。デジタルで集客するので数値の裏ずけをしながら、答えが一つでない仮説を立ててアイデアを実行してくことはとてもチャレンジングなことだと思います。
モバイル(アプリ)マーケティングに成功の秘訣はなんだとお考えですか。
ユーザーへの魅力づけに関して、どこまで深いストーリー設計を考えれるかだと思います。ユーザーのインサイトに沿ってアイデアを考えて、実行した際に数値を見てギャップを埋めていく、その繰り返しが地道ながらも1番の成功の近道だと考えています。
あなた(のサービス)にとって、質の高いユーザーとはどんなユーザーですか。
私たちの考える、ユーザーの定義に沿って体験をしてくれるユーザーです。ですので、例えば、結婚を目的としたyoubrideのサービスにとってはお相手と結婚の約束を取り付けてyoubrideを退会してくれるユーザーになります。
質の(エンゲージ度の)高いユーザーを新規獲得するための戦略でどの様なポイントを重視していますか。
競合優位性を持って、それをどのような形でアウトプットできるかが重要かと思います。それは広告クリエイティブであったり、新規媒体の開拓であったり、色々あるかと思いますが、特に重要視しているのはやはりどのようなメッセージをユーザーに伝えるかだと思います。datingアプリは似たり寄ったりの広告クリエイティブになる傾向が強く、そうなると認知度と資金力で勝負できないため、自社ならではの伝え方と考えることを強く意識しています。それでも、自社で考えた伝え方を他社にすぐ模倣されてしまう業界でもあるので、過去の成功パターンにとらわれずに常に新しいアウトプットの仕方を考え続けています。
過去1年で、アプリのインストール広告またはリエンゲージメント広告で効果に大きな影響を与えた秘訣を1つ教えてください。
YYCのマーケティングのコンセプトを2018年から一から作り直しました。これまでwebサービスとしてのイメージが強く、またアプリとしてのポジショニングを定めきれていなかったので、改めてアプリで使ってもらうためにユーザー調査からペルソナ策定を行い、コンセプトを再定義し、クリエイティブを一新しました。結果アプリのROASが前年比150%ほど向上、売上もかなり伸ばすことができました。
どのようにしてテクノロジーの変化を先取りしていますか。
インハウスで集客をしている分、代理店からの情報提供は少なくなる傾向にあります。ただし、日々数値と向き合って、昨日より今日、今日より明日、3ヶ月後、半年後と視点を切り替えていけば、自然とそのための情報は集めることができるかと思います。あと、これは余談ですが日本のdatingは広告の規制が多いため、dating以外のアプリが先んじて実践しているのを見てキャッチしていけるということもあります(dating以外のアプリが行うテクノロジーの半年後くらいにdatingアプリの規制が緩和することが多いため)。
モバイル(アプリ)マーケティングにおいて次の大きな目標はなんですか。
日本のdatingではまだまだこっそりやる、友人・知人に気づかれないように行うユーザーがまだまだ多いため、リファラル経由でのバイラルマーケティングが起こりづらい状況です。ただ、ここ数年で世間からの受け取られ方も変わってきているので、友人間で広がっていくようなユーザー集客を先んじて実践し、手法を確立していきたいです。
マーケターがアドフラウドに対抗するためのアドバイスはございますか。
アドテクノロジー担当に頼ることしか現状はできていないですが、今後はもっと自社のユーザーの数値を見ながら、信頼しているパートナーとディスカッションをし、不正かそうでないかの見極めをしていくことが重要だと思います。