北谷 氏にインタビュー
北谷 尚大 氏は、インクリメントP株式会社 マップソリューション本部 第一戦略部 トリマ事業グループに所属しています。
2003年にインクリメントP株式会社に新卒入社後、カーナビゲーションで利用するイラストの制作ディレクションに携わったのち、位置情報を使ったカジュアルゲームアプリをはじめ、いくつかの新規事業を経験しました。2019年からはポイ活アプリ「トリマ」の運営に従事し、同アプリのマーケティング施策、プロモーション戦略立案ならびに、カスタマーサポートや外部折衝など、事業の運営全般を担っています。
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インクリメントP社について
インクリメントP社は、地図検索サイト「MapFan」の運営をはじめ、他の地図サービスやカーナビゲーションシステムを開発する事業者に向けて、デジタル地図データ及びそれを活用したソリューション等の提供を行っています。
近年では位置情報を用いた様々な事業創出に取り組んでおり、その中の1つとして、毎日の移動でマイル(=ポイント)が貯まるポイ活アプリ「トリマ」を2020年10月より運営しています。トリマは現在、500万ダウンロードを誇るポイ活アプリとして成長を続けており、今年の10月には店舗向け広告配信サービス「トリマクーポン」の提供を開始するなど、ポイ活を軸としたメディアとしてのプレゼンスも高めています。
「トリマ」は社内の新規事業プロジェクトから始まったと聞いています。トリマの開発経緯を教えてください。
地図作りはこれまで、自治体や道路管理組合といった様々な組織から道路計画に関する情報を集め、それらを元に地図を起こすといったやり方が主流でしたが、そこには情報鮮度やコスト面での課題がありました。
そこで、広く普及しているモバイル端末から得られるユーザーの位置情報やログを収集して、地図作りの効率化を図ることを目的として開発したのがトリマです。多くのデータを集めるためには、必然的に多くの方に高頻度で使ってもらうことが必要となるため、何気ない普段の移動をポイントに変えられる、お手軽な「ポイ活」アプリに仕立てました。
トリマの開発に当たっては、例えば、ガチャ機能の結果表示画面にSNSシェアボタンを設置して拡散の導線を設けるなど、これまでに自社で企画、開発されたカーナビアプリや位置情報ゲーム等で得られた知見を盛り込んでいます。
その手軽さがユーザーの心を掴み、一般的なカジュアルゲームを凌駕する高いリテンション率を実現しています。
新規事業に取り組んだ経緯を教えてください。
Google Mapをはじめとした、モバイル中心の様々な地図サービスやカーナビサービスの登場を背景に、会社としての事業領域拡大に向けた機運が高まっていました。
そのような中、社内で新規事業プロジェクトが立ち上がることにとなり、真っ先に手を挙げて参画したのが、私が新規事業に携わりはじめた経緯となります。また、病気で数か月会社を休んでいた間に、会社からの支えを大きく実感したことで、何かしらの形で会社に恩返しをしたいといった想いから新規事業に積極的に携わっていく一つのきっかけとなりました。
ローンチから1年が経過した今、障壁や苦労されていることはありますか?
トリマ事業部では、ユーザーサポート窓口も担っているため、部署のメンバーで不具合や問い合わせに対応しているのですが、ユーザー数の大幅な拡大に伴い、サポート対応の業務ボリュームが大きく増えていると感じます。
サポートの内容としては、デバイス・OSに起因するものや、連携している外部サービスとの接続におけるトラブル等、多岐に渡りますが、中でも、広告の部分はやはり弊社のサービスの価値として最もコアな部分となるので、アドネットワーク企業との連携を通じて、できる限り早く解決できるように対応するように心がけています。
また、アプリを継続的に利用してもらうために、「マイルがしっかり貯まる(稼げる)感覚」をユーザーに持ってもらう必要があるのですが、それを実現するためには、広告単価の変動に関係なく一定のマイルをきちんと返す必要があるため、大きく単価が下がった際など、肝を冷やすことも少なくありません。
新型コロナによりサービスにどのような影響がありましたか?
コロナ禍の2020年の10月にサービスをローンチしたため前後比較が難しいのですが、社会的に外出・移動の自粛が求められる中で、移動をテーマにしたサービスをローンチする葛藤もありました。
しかしながら、いざローンチしてみると多くの方が実際に移動している事実が見えました。また、トラックドライバーなど移動が必須となる職業の方々に対し、移動によってお小遣いを稼ぐ機会を提供できるといった、一種の社会貢献になっていると感じています。
そういった意味では、コロナ禍でもきちんと使ってもらえる、有益なアプリとしてポジティブに捉えています。
直近のお取り組みや、アプリの今後の展望についてお教えください。
ユーザー数の増加を受けて、メディアとしての規模を拡大することができています。
これを受けて、2021年10月には、店舗向け広告出稿サービス「トリマクーポン」を公開しました。
トリマクーポンでは、コロナ禍で集客が難しくなっている状況の解決を図り、例えば個人経営の飲食店など、既存のクーポンサービスではカバーが難しいような領域を対象に、獲得単価を下げつつも効果的に集客を図ることができる身近なプラットフォームを目指しています。
集客効果を実感していただくためには、ある程度のサービス規模が不可欠であるため、アプリのアップデートや、機能強化等を積極的に行うことで、更なるユーザー数や利用率の拡大につながる施策も強化していく予定です。
組織として事業を成功させる上で、大切にしていることがあればお教えください。
自分が関わる事業に愛着を持つのはもちろん大切ですが、自分の立ち位置に固執し過ぎず、組織の中で自分に与えられたミッションを100%遂行していくことこそが、事業やサービスを成長させる上で最も重要であると考えています。
自分の「目の前にある課題」から一度離れて、組織全体を俯瞰的な視点で見てみると、必ず不足している役割や必要な役割が見えてきます。そしてそれは事業の状況によっても変わってきます。現在私はマーケティング、プロモーションの領域を主に見ていますが、それは私が「マーケターであるから」ではなく、サービス運営上必要であると考えるからです。
そういった観点から、現在もカスタマーサポート、FAQ作成や、製品ページの構成づくり、人材リソース調整など、開発以外の全ての業務に臨機応変に携わり、エンジニア、デザイナーなど、「生み出す力を持つ方々」が能力を最大化できる環境を整えることに注力しています。